道徳の授業が教科化になるって、どういうこと?

道徳の授業が、教科化(「特別の教科 道徳」)になり、小学校では2018年度から、中学校では2019年度からはじまります。
中学の学習指導要領を見てみると、大きく4つに分類されていました。
- 「自分自身に関すること」
- 「人との関わりに関すること」
- 「集団や社会との関わりに関すること」
- 「生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること」
2.「人との関わりに関すること」の中で、このようなことが書かれている箇所があります。
「自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、それぞれの個性や立場を尊重し、いろいろなものの見方や考え方があることを理解し、寛容の心をもって、謙虚に他に学び、自らを高めていくこと」
あ~、もう!
なんで、こんなにわかりにくく書くんでしょうね。
分解すると、こんなにもたくさんのことが書かれていることがわかります。
- 自分の考えや意見を相手に伝える
- それぞれの個性や立場を尊重する
- いろいろなものの見方や考え方があることを理解する
- 寛容の心をもって、謙虚に他に学ぶ
- 自らを高める
なんとも欲張りですねえ。
こんなにたくさんのこと、一体どうしろというのでしょう。
ぜひとも教えてほしいわ!
なんて嘆き、ぼやいている先生方が、どれほどいらっしゃることか。
心中お察しいたします。
最高の授業プログラムがあります!

そんな先生方に朗報です!
上記の条件をクリアする授業プログラム(指導案)があります!
それは・・・
絵本教育研究所の「絵本 DE こころの授業」です。
このプログラムは、絵本と心理を使ったワークショップ形式の授業ですが、柱となるのは、「自己肯定感を高めること」
上記の項目にあてはめると・・・
- 自分の考えや意見を相手に伝える → グループ内で発言
- それぞれの個性や立場を尊重する → どんな発言も受け入れる
- いろいろなものの見方や考え方があることを理解する → グループワークで一人ひとり違う意見が聞ける
- 寛容の心をもって、謙虚に他に学ぶ → 気づきや発見が得られる
- 自らを高める → 自分の変化、成長を実感できる
道徳の授業を行う上で大切なことが、二つあります。
一つ目は、「価値観を押しつけない」ということ。
しかし、この価値観を「押しつけない」というのが簡単なようで難しい。
「絵本 DE こころの授業」では、授業のテーマに合う絵本を読んだあと、自分で考え、書くことで、自分と向き合います。
そして、グループで話し合うことで、自分と違う意見に出会い、価値観の違いに気づきます。
時には、何かを制作することもあります。
「そんなのいつもやってるよ」
という先生もいらっしゃるかと思います。
先生が生徒に気づかされた瞬間

以前、某中学校で打ち合わせをしていたとき
担当の先生から聞いた
エピソードをご紹介しましょう。
道徳の授業の際に
生徒のみんなに、固定観念を捨てて、自由な発想・自由な発言をしてもらおうと思い、授業のはじめにこんなことを言ったそうです。
「頭を真っ白なキャンバスにしてください。
そして、そこから自分なりの色をつけていってください」
ところが、それを聞いたある女子生徒が、手をあげてこう言ったのです。
「先生!なんで白じゃないといけないんですか?
他の色じゃ、ダメなんですか?」
このことばに、先生は
「そうか、これがすでに価値観を押しつけているってことなんだ」
と、気づかれたそうです。
そうなんですよね。
白でないといけない理由なんて、どこにもないですもんね。
ただ固定観念を捨ててもらおうと、わかりやすく伝えようと思って言っただけなんですよね。
でも、ついやっちゃうんですよね、こういうことって。
本当に、無意識に。
なぜ白じゃないといけないのか、と言った生徒さんのおかげで、先生は、自分がいかに固定観念に縛られていたかに気づくことができたんですね。
勇気をもって発言した生徒さんも、それを言える環境作りをしている先生も、そして、価値観を押しつけていたと気づいたことにも、本当に素晴らしいと思いました。
もし、「何を言ってるんだ!」と、その生徒に怒っていたら、事態は最悪だったと思います。
恐らく「先生の喜ぶことを言えばいいんでしょ」ってことになり、みんな当たり障りのない同じ意見を言っていたと思います。
道徳の授業としては、大失敗ですね。
道徳の授業を行う上で大切なことの二つ目に、何を言っても受け入れてもらえる「環境」だと、わたしは思っています。
前述の先生は、ご自身のクラスに、そういう環境を作っていらっしゃったので、生徒さんが自由な発言ができて、先生も良い気づきを得ることができたんですね。
これが、ひとつの理想の道徳の授業なのではないかな、と思いました。
答えはひとつでなく、いろんな角度から見ることで解釈も違って、それが人間なのだと。
「十人十色」
知識として理解するのではなく、自分事として「腑に落ちる」「体験する」
これが大事なんだと思います。
担任の先生が「絵本 DE こころの授業」

「絵本 DE こころの授業」では、生徒が考え、表現し、体験すること。
そして、「先生自身が授業をする」ことを目指しています。
「えっ? 先生がするの?」と思われました?
もちろん、最初は絵本教育研究所が外部講師(特別授業)として授業をさせていただき、実際にどのようなプログラムなのかを見ていただきます。
しかし、毎回、外部講師が来ないといけない授業では意味がありません。
本来は、担任の先生がされる授業ですから、普段から生徒さんと関わっている担任の先生が、絵本を上手に使って授業ができるよう、現場の先生方の協力を得ながらプログラムの開発を続けています。
ただ絵本を読んで、主人公の気持ちを読み取るといった授業でなく、生徒ひとり一人が自分と向き合い、感じたことを正しく表現できること。
そして、価値観の違いに気づき、受け止め、価値観の違う者同士がどう関わっていくのかを、自分事として捉えられる授業を、絵本教育研究所は目指しています。
興味を持たれた先生がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。
道徳授業にピッタリの絵本
せっかくなので、学習指導要領の各項目にピッタリの絵本をご紹介します。
たくさんありますが、きりがないので一冊ずつにしておきましょう。
どの絵本も、人によって解釈が違うと思いますよ♪
だまされたと思って、複数の人に読んで、感想を聞いてみてください。

3.集団や社会との関わりに関すること
「おかあちゃんがつくったる」長谷川義史:著/講談社:刊
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