
「良い絵本の見分け方を教えてほしいんです」
と、質問を受けることがあります。
良い絵本・・・
う~ん、困りましたねえ。
商業出版されている本というのは
その道のプロが「良い作品だ!」「売れる!」と判断し、作っているので「全部良い絵本」のはずなんです。
恐らく、その人の「目的に合った絵本の選び方」という
意味ではないかと推察します。
私が選書するときに気をつけているのは、
まずは、TPOです。
「いつ」「どこで」「誰に向けて」「どんなテーマで読むのか」
ということです。
当然といえば当然のことですね。

例えば・・・
「夏休み(終戦記念日)に、小学5~6年生50人の前で、平和をテーマに絵本を読み聞かせする」
このようなシチュエーションの場合
どういうところに気をつけて選ぶでしょうか?
時 期 ・・・ 終戦記念日
場 所 ・・・ 小学校
対 象 ・・・ 小学5~6年生
人 数 ・・・ 50名
テーマ ・・・ 平和、戦争
わかっている情報は、上記の5つです。
今回は、わかりやすく解説するために
絵本は一冊に限定し、同じ作者(長谷川義史さん)で考えてみたいと思います。
以下に三冊の候補を挙げてみます。
上記、三冊の中から
一冊しか読めないとしたら、どの絵本を読みますか?

わたしなら、こう考えます。
【Aの絵本】
これは、テーマには合いませんね。
今回は、終戦記念日の平和学習がテーマです。
ということで、わたしなら使いません。
【B の絵本】
これは、テーマにはピッタリですね。
でも・・・わたしなら選びません。
長谷川さんの絵は、顔を大きくまんまるに描くのが特徴です。
このお話が実話だということを踏まえると、絵にリアリティが感じられないんです。
【Cの絵本】
沖縄の小学一年生が書いた詩に、長谷川さんが絵を描かれたという作品です。
三冊の中から選ぶなら、わたしはこれを選びます。
小学生の作品ということで、聞き手の子どもたちも興味を持ってくれやすい。
絵もシンプルで遠目がきく。
テーマにも合っていますね。
本来は、もっといろんな条件が必要なんですが、わかりやすく説明するために、あえてシンプルにしてみました。
ただ、上記の解説は、「わたしだったらこうする」というだけで、これが100%正しいということではありません。
あくまでわたしの価値観で選んだらこうなるというだけです。
もっと突っ込んで言うと・・・
わたしなら、上記三冊とも選びません(^_^;)
(自分で候補を挙げておいてすみません)
もし、たった一冊しか読めないのであれば
別の作者の絵本を選びます。
- 「すみれ島」今西祐行 著/松永禎郎 絵/偕成社 刊
- 「ひろしまのピカ」丸木俊 著/小峰書店
- 「せかいでいちばんつよい国」デビッド・マーキー 著/なかがわちひろ 訳/光村教育図書 刊
- 「えんぴつびな」長崎源之助 著/長谷川知子 絵/金の星社 刊
まだまだ、いろんな絵本があります。
とにかく自分が知ってる絵本と、新しく探して見つけた絵本を列挙します。
そこから、
- 子どもたちの理解度
- 長めの絵本でも大丈夫かどうか
- 先生方のご意向
などの追加情報を考慮に入れながら、聞き手の子どもたちに伝えたい自分の想いをほんの少し乗せて、最終的に一冊に絞り込みます。
いかがでしょうか。
大切なことは
- TPO
- 読み手の気持ちと合う絵本
なのではないでしょうか。
そう、読み手(自分)の気持ちもとっても大事なんですよ。
読み手の気持ちって、聞き手に伝わってしまうんです。
ですから、わたしの「好みに合わない絵本」は読みません。
大げさかもしれませんが、「読んでいて、気分が悪くなる」「怒りを覚える」こともあります。
わたしなりに、明確な理由はあるんですよ!ちゃんと。
わたしだって生身の人間ですからね、当然好き嫌いはありますよ。
仕事なので、できるだけ偏りなく選んではいますが、それでも嫌いな(好みでない)絵本は絶対に講座やセミナーでは読まないし、誰かに薦めることもしませんし、当然、手元にも置きません。
まあ、個人的な好みにすぎませんから、どの作品かはあえて書くことは控えますね。
興味のある方は、直接お会いしたときにお尋ねいただければ、あなただけにこっそり打ち明けたいと思います。
*ちなみに、ここに挙げた作品全部大好きです。
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